2016/09/25

医療でのアロマテラピー活用例 ~【海外】経口抗不安、精神安定剤として

こんにちは。
H&カンパニー 中川です。

私はセラピストとしてクライアントさまにトリートメントさせていただく機会も多いのですが、私がこういった仕事を始めた頃に比べて、「アロマテラピー」の存在と香りの種類について、本当に多くの方に知られるようになったなと感じています。
特に先日、たまたま男性のクライアントさまから「ラベンダー(の香り)を」とリクエストされることが続いて、一般的に香りに関心が高いといわれる女性のみならず、男性も「ラベンダー」と種類を指定して所望されるようになってきたのだな、と感慨深いものがありました。

さて、そのラベンダー。

lavande441.jpg



近現代のアロマテラピーの扉を開いたのはラベンダー精油がきっかけといっても過言ではなく、セラピストはもちろん、多くの一般の方にもその存在を知られているラベンダー。
300種類とも600種類とも言われる多様な成分を含み、多くの効果効能を持つとされるラベンダーですが、一般的によく知られているのは「リラックスのアロマ」というイメージではないでしょうか。

確かに、リラックスや安眠のブレンドとして使われるシーンが多くありますが、実は全てのラベンダー精油が「リラックスのアロマ」という訳ではないのです。
例え同じ「ラベンダー」という植物でも、学名が異なると精油の含有成分組成が異なってきて、効果効能も違いが出てくると言われています。
ラベンダーの精油には
ラベンダー・アングスティフォリア(Lavandula angustifolia 更に後ろに「ssp. angustifolia」がつくものもある)
ラベンダー・スーパー(Lavandula × burnatii clone super)
ラベンダー・ストエカス(Lavandula stoechas)
ラベンダー・スピカ(Lavandula spica)
ラベンダー・レイドバン(Lavandula x burnatii clone reydovan)
などの種類がありますが(カッコ内はそれぞれ学名)、このうちセラピストが鎮静、リラックス、安眠を目的として使うのは「ラベンダー・アングスティフォリア」という品種から採れるラベンダー精油です。
アングスティフォリアは鎮静作用があるとされるエステル類の酢酸リナリル、モノテルペンアルコール類のリナロールという成分を豊富に含みます。
上にあげた他のラベンダーはそれほどこれらを含みません。特に酢酸リナリルは少量の場合は逆に興奮作用に働いたりするのですよ。
精油をお買い求めのときはちょっと気にしてみてください。


さて、そんなラベンダー・アングスティフォリアが、海外で経口使用されている例をご紹介します。

ラベンダー精油は欧州薬局方(EP)に収載されていますが、これを経口で継続服用することにより、既存の抗不安薬使用群やプラセボ群より有意に全般性不安障害(GAD)が軽減した、という研究結果が報告されています。

頬杖


(参考文献 :
Efficacy and safety of silexan, a new, orally administered lavender oil preparation, in subthreshold anxiety disorder - evidence from clinical trials.(2010)
Lavender oil preparation Silexan is effective in generalized anxiety disorder--a randomized, double-blind comparison to placebo and paroxetine.(2014))
「Silexan」というのは、ラベンダー・アングスティフォリア精油の医薬品原料としての商品名のようですね。
この2つの研究は同じメンバーによるもののようですが、2010年の研究でまずは、一日あたり80mgのラベンダーアングスティフォリア精油摂取群、ロラゼパム(抗不安薬のひとつ)0.5mg/日摂取群、プラセボ群でラットなどでなく人で臨床試験したとのこと。
80mgだと概ね精油2滴弱、といったところでしょうか。
そして2014年の研究では、参加人数を約2倍ちかくに増やし、比較の薬をパロキセチン20mg/日とし、Silexan(ラベンダー・アングスティフォリア精油)も80mg/日と160mg/日の2群用意して行ったそうです。
その結果、Silexan(ラベンダー・アングスティフォリア精油)160mg/日が最も効果が出たようですね。更にSilexanは副作用も少ない模様です。

更に2015年の研究で、Silexanがセロトニン1A受容体結合能を低下させる影響を及ぼすと思われる、ということも報告しています。
(参考文献:
Effects of Silexan on the serotonin-1A receptor and microstructure of the human brain: a randomized, placebo-controlled, double-blind, cross-over study with molecular and structural neuroimaging.)

実際、Silexanはソフトジェルカプセルの形態でドイツやスイス等の欧米で医薬品メーカーにて製品化され、発売されているようです。


日本では精油の飲用はなされていませんが...。
ラベンダーの、しかもアングスティフォリア種で人間への抗不安効果が実証されて製品化されているということに、私は「精油の効果は化学の側面も大きい」ということを改めて実感しました。
今後日本での医薬品認可や使用にかかわる部分がどのように展開していくかはまだ未知数ですが、医療とアロマセラピーのコラボレーションの可能性を感じるケースだと思います。


さて、こんなアロマについて、
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2016/09/05

医療でのアロマテラピー活用例 ~消化管内視鏡検査における鎮痙剤として

こんにちは。
H&カンパニー 中川です。

弊社はアロマ・ハーブが医療機関や介護現場で広くメディカルに活用されるようコンサルティング、サポートを行っていますが、既に医療現場でそれらが活用されている例もいくつかあります。
今日はそのひとつをご紹介すると...。

今回のトピックで使われている精油はペパーミント。

ペパーミント1


そして使われている現場は消化器内科

消化器


の、消化管内視鏡検査、つまり胃や十二指腸、大腸などの内視鏡検査の時です。

内視鏡検査



例えば医療職の方、又は実際に検査を受けた経験のある方はご存じだと思いますが、検査の際に胃などが本来の動きである「蠕動運動」をし動いてしまうと内部の詳細な観察ができないため、その動きを一時的に抑制するための処置を施すことがあります。

これまでは、そのためには肩への注射での薬剤投与が行われてきましたが、例えば出血性大腸炎、緑内障、前立腺肥大による排尿障害がある方、重篤な心疾患のある方(抗コリン剤)、褐色細胞腫や糖尿病などの方(グルカゴン)には禁忌のものでした。

が、ペパーミント精油は対象の部位に希釈して直接噴霧するだけで、高い蠕動運動抑制効果が得られるという研究が2003年に世界で初めて日本のチームによって発表され、以降、現在も多くの研究がなされ、実際に使用している医療機関が多くあります。
(参考論文:
Peppermint oil reduces gastric spasm during upper endoscopy: a randomized, double-blind, double-dummy controlled trial
上部消化管内視鏡検査の鎮痙剤としてペパーミントオイルは有用である――▽内視鏡医,患者,看護師,それぞれの立場から▽――
など)

これらは、ペパーミントの主要成分であるl-メントールが、投与した局所において消化管平滑筋細胞のカルシウムチャネルを阻害することで蠕動運動を抑制する作用秩序とされています。

この多くの使用実績から、製薬会社がl-メントールを主体とした検査用の消化管噴霧剤を発売したほどです。

このペパーミント精油を使用するのは胃や十二指腸などの上部消化管検査でのことが多いようですが、大腸内視鏡においても、ペパーミントの主要成分l-メントールの局所噴霧で結腸の蠕動運動を抑制することによって、腺腫の検出率(ADR)を優位に向上させることができた、という研究もつい3年ほど前に報告されています。
(参考文献:「L-menthol improves adenoma detection rate during colonoscopy: a randomized trial.」)

このペパーミント精油の局所噴霧を活用することで、医療職側の内視鏡検査の「前処理」の時間、すなわち患者への問診や注射の業務負担が軽減され大幅に短縮されるとのこと。
また、注射の副作用への配慮などの精神的負担が軽減される。
従来の注射の場合、運動抑制が作用するまでの時間が5分~なのに対し、精油噴霧だと30秒程度で、ここも時間短縮。
そして患者側でも、注射などの肉体的負担や、検査後注射の薬のためしばらく自動車を運転できない、ということもありません。
副作用も決して完全ゼロではないようですが、従来の方法より大幅に利点や禁忌事項の軽減があるようです。

このように、現代の医療とアロマセラピーやハーブが結びついて、より快適な医療であったり、治療効果の向上に寄与できることがもっと増えていったらいいなと思います。


さて、こんなアロマに興味をもっていただけたなら。
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